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院長コラム

胃カメラはどっちがいいの?経口 vs 経鼻/ 鎮静 vs 非鎮静(2020.07.06更新)

目次

胃カメラを受ける際に経口(口から挿入)か、経鼻(鼻から挿入)のどちらがいいのか迷われている方はいらっしゃいますでしょうか?
また、鎮静下での検査(麻酔薬を用いて眠った状態で行う検査)か非鎮静下(のどの局所麻酔だけ行い起きた状態で行う検査)のどちらがいいのか迷われている方はいらっしゃいますでしょうか?
今回の院長コラムでは私の考える経口と経鼻の胃カメラのメリット・デメリット、鎮静下での検査と非鎮静下の検査のメリット・デメリットについて解説いたします。

経口 vs 経鼻

ここからはカメラでなく、正式な用語として「内視鏡」で記載させていただきます。

なお、私が使用しているのがオリンパス社製の内視鏡ですので、今回の記載は基本的にオリンパス社製の内視鏡についてですのでご留意ください。オリンパス社製以外の内視鏡についても概ね同じことが言えるとは思いますが。

  メリット デメリット
経口

画質がいい
内視鏡の操作性がいい
吸引口(水などを吸う部分)が大きい
鉗子口(生検時などに使用する道具を通す部分)が大きい
拡大観察機能がついている機種がある
送水機能がついている機種がある

経鼻内視鏡に比べると太い
咽頭・喉頭(のど)の観察に関しては経鼻内視鏡の方が観察しやすい
経鼻 経口内視鏡に比べると細いので楽
咽頭・喉頭(のど)の観察がしやすい
画像が経口内視鏡に比べるとやや粗い
内視鏡の操作性が少し悪い場合がある
吸引口(水などを吸う部分)が小さい
鉗子口(生検時などに使用する道具を通す部分)が小さい

一つ一つについて解説していきます。

・画質について

内視鏡の世代が新しくになるにつれて経口内視鏡も経鼻内視鏡も画質はよくなってきていますが、同じ世代の内視鏡であれば経口内視鏡の方が経鼻内視鏡よりも画質がいいです。イメージとしては経鼻内視鏡は1世代前の経口内視鏡と同等程度な気がします。

・内視鏡の操作性について

経鼻内視鏡の方が細くてコシがないので、経鼻内視鏡ではやや操作性が悪い箇所があります。通常の観察では問題になりませんが、生検(病変の一部をつまみとって病理検査に出すこと)を行う際に、経鼻内視鏡ではやや苦労する場所があります。

・吸引口について

吸引口とは内視鏡の先端の水などを吸うための穴の部分になります。吸引口が大きいほど、水を吸うスピードが速くなります。胃内には胃液や胃内を洗浄した水がたまるので、それを吸引してから胃の中を観察します。そのため、吸引のスピードが速いほど、検査自体も早く終えることができます。

・鉗子口について

鉗子口とは生検時などに使用する道具を通す穴になります。通常の内視鏡時に使用するのは生検鉗子(組織の一部をつまみとって病理検査に出す際に使用する道具)程度なので、鉗子口が小さくてもあまりに問題にはなりません。胃潰瘍からの出血に対する止血処置など、何か処置を行う際には鉗子口が大きくないと通らない道具が多いです。

・拡大観察機能について

経口内視鏡には拡大観察機能がついた機種があります。拡大観察機能がついていると微小な血管や表面の構造を観察することができます。拡大観察機能はどのような場合に用いるかというと、早期がんの精査(病変の境界や、深達度(がんがどこまで深く入っているか)などを詳細に観察すること)の場合や、がんか炎症などによる変化なのかを区別する際に用います。ですので、通常の内視鏡検査の時に毎回必要というわけではないですが、拡大観察機能がついていればがんかどうかを判断するために生検を行う頻度を減らすことにはつながると思います。

・送水機能について

経口内視鏡には送水機能がついた機種があります。内視鏡の鉗子口を通して水を出すこともできますが、送水機能を用いた方が手早く洗うことができます。食道や胃などの壁に粘液などがついている場合まずきれいに洗ってから観察することになるので、洗うのが早くなれば検査自体も早く終えることができます。

・内視鏡の太さについて

内視鏡が細い方が検査自体は楽です。また、鼻から内視鏡を入れる方が咽頭反射(のどに内視鏡が触れている時に起こるおえーっという反射です)も起きにくいです。検査の楽さに関しては経鼻内視鏡に軍配が上がります。

・咽頭・喉頭(のど)の観察について

鼻から内視鏡を入れる方が咽頭反射が起こりにくいのと、内視鏡自体が細く、のどの壁に触れにくいので、咽頭・喉頭(のど)の観察は経鼻内視鏡の方が見やすいことが多いです。

・最終的に

各々のメリット・デメリットについて述べてきました。最終的にどっちがお勧めなのかということですが・・・これは私見が入りますが

私としては「鎮静下での経口内視鏡での検査」をお勧めします。

経鼻内視鏡の最大のメリットは検査が楽なことなので、鎮静下で内視鏡検査を行って楽に検査を受けることができるのであれば、経口内視鏡の方が観察能力などは優れているので経口内視鏡の方がいいと思います。

何か理由があって鎮静のための麻酔薬が使えなくて、咽頭反射が強くてすごく苦しいという方の場合は経鼻内視鏡がいいかと思われます。ただ、萎縮性胃炎がある方や、食道がんや胃がんの治療後などといったがんができるリスクが高い方に関してはしんどくても経口内視鏡で頑張っていただいた方が望ましいとは思います。

あとは最近発売されたGIF-1200Nという経鼻内視鏡はかなり画質がよくなっているので、がんのリスクが高いけれど、麻酔薬が使えなくて、咽頭反射も強く経口内視鏡での検査は我慢できない・・・という方は、この内視鏡を採用している施設で検査をしてもらうのは選択肢になるかと思います。

鎮静 vs 非鎮静

  メリット デメリット
鎮静 検査を楽に受けることができる

咽頭・喉頭(のど)の観察時に発声をしてもらえるので見やすい部分がある
当日も乗り物などの運転ができる
検査が終わればすぐ帰宅できる

非鎮静

当日の検査後は乗り物などの運転ができない
麻酔が覚めるまで休んでいただくので、帰宅までに時間がかかる
とても可能性は低いが薬による合併症が起こるおそれがある

咽頭反射が強い人では検査が辛い

一つ一つについて解説していきます。

・検査の楽さについて

鎮静下での検査のメリットはこれにつきます。鎮静下での検査では非鎮静下の検査と比べてかなり楽に受けることができます。当院で鎮静下での検査をされた方の多くは検査後に検査をされたことも覚えていない方が多いです。

よろしければ当院アンケート結果をご参考下さい。

アンケート結果

・検査当日の乗り物などの運転について

これが鎮静下での検査の最大のデメリットになります。検査後に麻酔がある程度さめるまで30分~1時間程度院内で休んでいただく施設が多いですが、その後でもふらつきが残る場合がありますし、一旦麻酔が切れたと思った後でもまた眠たくなることがあります。事故を避けるために当日は乗り物などの運転や高所での作業などは禁止されています。

フルマゼニルという鎮静剤(ミダゾラム)の作用を打ち消す薬を使用する場合もありますが、これは効果の持続時間が短いため、また眠気やふらつきが出現する可能性があるので、やはり当日検査後は、乗り物などの運転や高所での作業などは禁止されています。

・かかる時間について

鎮静下で検査を行うと麻酔がある程度さめるまで30分~1時間程度院内で休んでいただく施設が多く、検査終了後も少しお時間をいただいてしまいます。

・麻酔薬の合併症について

麻酔薬の合併症としては血圧の低下や、呼吸の抑制、アレルギーなどがありますが、いずれも頻度は極めてまれです。また、合併症が生じた際にも適切な対処をすれば問題にならないことがほとんどです。ただ、内視鏡検査を行う医師は麻酔薬の適切な使用方法と、起こりうる合併症およびその対処法に習熟し、必要な物品を準備しておく必要があります

・咽頭・喉頭(のど)の観察について

咽頭・喉頭(のど)の観察に関しては胃カメラを受けるすべての方で詳細に行う必要はないと思います。非鎮静下での方が詳細な観察ができると記載しましたが、起きたままで詳細な観察を行うのは患者様にとってかなりの苦痛ですし、そもそも咽頭反射が強い方では観察自体が困難な場合もあります。通常の胃カメラの際には患者様が我慢できる範囲内である程度の観察を行うようにして、咽頭・喉頭のがんのリスクが高い方のみ詳細な観察を行うようにするケースが多いかもしれません。

・最終的に

鎮静下と非鎮静のどちらがお勧めなのかですが、これも私見になりますが、

私としては鎮静のための麻酔薬が使えない理由がない方であれば、「鎮静下での検査をお勧めします。

胃カメラは症状がある場合に受けていただくだけではなく、症状がない方でも定期的に受けていただいた方がいい検査になります。症状があって必要にせまられれば多少しんどくても胃カメラを受ける気になられるかと思います。しかし、症状がない方では、一度胃カメラで辛い思いをされるとまた胃カメラを受けようとはなかなか思わない方が多いと思います。胃カメラを長期間受けていなかったばっかりに、進行がんになってから発見されるというのは、内視鏡を行う医師としては一番避けたい状況です。そのためには鎮静下で、楽に検査を受けていただき、こんなに楽ならまた検査を受けようと思っていただくが重要かと思います。

もちろん、非鎮静下での胃カメラでも全然苦しくないという方では、鎮静下で検査を行う必要はないと思います。

今回のコラムを読んでいただくことで経口・経鼻、鎮静・非鎮静のメリット・デメリットについてのご理解は深まったでしょうか?
皆さんが胃カメラを受けていただく際に経口でするのか経鼻でするのか、また鎮静下でするのか非鎮静下でするのかを選択するのにお役に立てば幸いです。

胃カメラ全般の詳細については下記の院長コラムで記載していますので、ご興味のある方はどうぞご覧ください。

院長コラム 「胃カメラの詳細 ~楽な受け方のコツからよくある疑問まで~」

また、下記のページでは食道・胃・十二指腸・大腸の正常像から様々な疾患まで多数の内視鏡画像を掲載しています。ご興味のある方はどうぞご覧ください。

内視鏡画像

書写西村内科での胃・大腸内視鏡(胃・大腸カメラ)の詳細は下記ページをご覧ください。

胃・大腸内視鏡(胃・大腸カメラ)へ

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