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院長コラム

高血圧について(2021.06.02更新)

目次

健康診断で血圧が高いと言われたことはないでしょうか?高血圧などの生活習慣病はなかなか症状が出にくいですが、長い間未治療でいると様々な合併症を起こすことがあるので注意が必要です。今回の院長コラムでは高血圧について解説します。

高血圧とは

文字通り血圧が高い状態が慢性的に続いている状態です。

高血圧の定義は

  • 診察室血圧  140/90 mmHg 以上
  • 家庭血圧  135/85 mmHg 以上

とされています。ただ、診察室血圧 130~139/80~89 mmHgも、120/80 mmHg未満と比べると脳心血管病の発症率が高く、将来的に高血圧になる可能性も高いことが報告されています。そのため、診察室血圧 130~139/80~89 mmHgは高値血圧と定義されており、診察室血圧 120/80 mmHg未満が正常血圧と定義されています。

日本における高血圧の患者数は約4300万人と推定されており、そのうち3100万人の方が管理不良であるとされています。

血圧の測定方法

まず、きちんと血圧が測られていなければ高血圧なのかどうかの正しい判断ができません。また、高血圧に対して治療中の場合も治療がうまくいっているかの指標としてご家庭で測った血圧の値は非常に重要です。

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」で推奨されている血圧の測り方をご紹介します。

  1. 測定の装置
     上腕カフ・オシロメトリック法に基づく装置。
     手首で測定するものより上腕で測るものの方が安定した値になります。
  2. 測定の環境
     静かで適温の環境
     背もたれ付きのイスに足を組まずに座って1~2分の安静後
     会話をしていない状態
     測る前に喫煙や飲酒、カフェインの摂取は行わない
  3. 測定条件
     a. 朝(起きてから)1時間以内
       排尿後
       朝の薬を飲む前
       朝食前
       座って1~2分安静にしてから
     b. 晩(寝る前)
       座って1~2分安静にしてから
  4. 測定回数
     2回測って、その平均をとります。
     1回だけ測った場合はその1回測った分の血圧とします。

高血圧の原因

血圧が上がる原因には様々なものがあります。

生活習慣としては

  • 塩分の摂りすぎ
  • カリウム、カルシウム不足
  • 肥満
  • 運動不足
  • ストレス
  • 加齢

などが挙げられます。

元々高血圧になりやすい体質の方(親が高血圧であるなどの遺伝的な要因)に生活習慣などの影響が加わって高血圧になる場合が大半を占めますが、他の病気の影響で血圧が上がってしまうことがあります。そうしたものを、二次性高血圧といいます。

二次性高血圧の代表的なものとしては

・睡眠時無呼吸症候群

 睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、弱くなったりすることを繰り返す病気です。睡眠の質が下がったり、体内の酸素濃度が下がったりすることで肉体的なストレスにさらされ、高血圧をきたします。

睡眠時無呼吸症候群の詳細については下記の院長コラムをご参照ください。

院長コラム:「睡眠時無呼吸症候群について」

・原発性アルドステロン症

 副腎という臓器からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンにはナトリウムを体内に貯留させる作用があるため、アルドステロンが過剰になった状態では血圧が上昇します。

・褐色細胞腫

 交感神経(自律神経の一種)に働きかけるホルモンであるカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の分泌する腫瘍です。副腎という臓器にできることが多いです。カテコラミンが過剰に分泌されると、血管が収縮したり、心臓が収縮する力が増し、血圧が上昇します。

・腎血管性高血圧

 若い女性や、中高年の方で急激な血圧上昇が起こったときに可能性があるのが腎血管性高血圧です。腎臓へ血液を送る血管が狭くなってしまい、血液をしっかり送り出すために血圧が高くなってしまいます。

高血圧の症状

肩凝りや頭重感、頭痛、めまいなどの症状が出る場合もありますが、よほどの高血圧でない限り、自覚症状はないことが多いです。

症状がないまま、病状が進行してしまうことが多いので注意が必要です。

高血圧の合併症

高血圧が続くと、動脈硬化(血管が固くなってしまうこと)や心臓への負担によって様々な合併症を起こる危険性があります。

・高血圧性心肥大

 動脈硬化が進むと、心臓が全身に血液を送り出すのに、大きな力が必要になります。これに対応するため心臓の筋肉は発達して厚くなり、心臓全体が大きくなります。これが「心肥大」という状態です。
心肥大になると、心不全、不整脈、狭心症、心筋梗塞などの合併症の頻度が増加します。

・心不全

 心臓や腎臓の働きが低下して血液の循環や不要な水分のコントロールがうまくいかなくなり、体に余分な水分がたまった状態になることです。
足や顔がむくんだり、息切れ・動悸などの症状がでます。

・脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)

 血圧が高いと動脈硬化が進み血管がもろくなります。また、血圧が高いと血管にかかる負担も大きくなり、脳出血やくも膜下出血を起こすおそれがあります。
また、動脈硬化が進むことで、脳や首の血管が細くなり、脳梗塞を起こす危険性があります。
いずれも障害が残ったり、生命に関わったりすることがある重篤な病気です。

・狭心症、心筋梗塞

 心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている血管(冠動脈)が詰まってしまうのが心筋梗塞、血管が狭くなり、心臓に十分な血液を送りこめなくなるのが狭心症です。
いずれも動脈硬化が大きな原因となります。特に心筋梗塞は不整脈や心不全など様々な合併症を引き起こしたり、生命に関わることがある重篤な病気です。

・腎硬化症

 高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらす病気です。徐々に腎機能が低下し、最終的には慢性腎不全に至ります。

高血圧の治療

高血圧の治療は生活習慣の改善が重要で、それでも血圧の目標値が達成できなければ薬物療法を行います。

目標値は下記のようになります。

 

 

 

 

 

 

*高血圧治療ガイドライン 2019 より

生活習慣の改善

①食事療法

 高血圧の治療には減塩が重要です。1日の塩分摂取量を6g未満にしましょう。

☆減塩のポイント

  • 麺類の汁は飲まない      
  • 加工食品・インスタント食品は控える 
  • 魚は干物や塩漬けよりも刺身や素焼きに
  • しょうゆはかけずに小皿でつける
  • 塩のかわりに、酢・うまみ・薬味などを使う

摂取塩分量の約67%が調味料由来となっています。調味料に含まれる塩分の量(g)をお示ししますので参考になさってください。

 ◎調味料に含まれる塩分量(g)

食品 小さじ 1 大さじ 1
食塩 6.0 18.0
濃口しょうゆ 0.9 2.6
薄口しょうゆ 1.0 2.9
減塩しょうゆ 0.5 1.4
信州みそ 0.8 2.4
減塩みそ 0.4 1.0
麺つゆ(ストレート) 0.2 0.5
麺つゆ(3倍濃縮) 0.5 1.6
和風だしの素 1.2 3.6
ウスターソース 0.5 1.5
中濃ソース 0.3 1.0
オイスターソース 0.4 1.3
マヨネーズ 0.1 0.2
ケチャップ 0.2 0.5
中華だし 1.8 5.4
ブイヨン 1個 = 2.3
チキンコンソメ  1個 = 2.3

また、肥満は血圧の上昇につながりますので、食べ過ぎにも注意が必要です。

アルコールの摂りすぎも血圧の上昇につながります。男性では1日にエタノールで20~30mL(おおよそ日本酒 1合、ビール 中瓶 1本、焼酎 半合、ウイスキー ダブル 1杯、ワイン 2杯に相当)、女性ではその半分の10~20mLに制限することが勧められます。

②運動療法

 少し負担に感じる程度の負荷がかかる有酸素運動がお勧めされます。
ウォーキングであれば1日1万歩(1日30分)以上で、週に3~4日以上を目標にしましょう。

③その他

 禁煙:喫煙は高血圧になる危険性が高くなるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの発症の危険性を高めます。

 減量:BMI〔体重 (kg) ÷ 身長 (m)2〕 25未満が目標になります。
おおよそ1kgの減量で収縮期血圧・拡張期血圧も約1 mmHg低下すると言われています。

薬物療法

生活習慣を改善しても血圧の目標値が達成できなければ薬物療法を行います。
血圧を下げる薬には様々な種類があります。
代表的なものとしては下記のものがあります。

①Ca(カルシウム)拮抗薬

 心臓や血管が収縮する時には細胞内にカルシウムイオンが流れ込みます。カルシウム拮抗薬は、カルシウムイオンが細胞内に流れ込むのを抑え、血管を拡げることで血圧を下げます。

副作用としては動悸やほてり、むくみ、歯肉の腫れなどあります。

②アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

 アンジオテンシンⅡには、血管を収縮させる作用や、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やす作用があり、血圧を上げる働きをしています。ACE阻害薬はアンジオテンシンⅡが作られるのを防ぎ、血管を広げて、血圧を下げます。

副作用として空咳やのど違和感、カリウムという電解質の上昇などがあります。

③アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)

 アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨げることで、その作用を防ぎ、血管を拡張させ、血圧を下げます

副作用としてカリウムという電解質の上昇などがあります。

④利尿薬

 利尿薬は尿の中に塩分・水分を排泄させて体の中の水分量を減らし、その結果として血圧を下げます。ただし、脱水になると腎機能が悪化するため、注意が必要です。

副作用としては脱水やカリウムという電解質の低下、尿酸の上昇などがあります。

⑤β遮断薬

 血圧を上げる神経の働きを抑えて心臓から拍出される血液の量(心拍出量)を抑えたり、血管の収縮を弱めたりして、血圧を下げます。

副作用としては脈拍数が少なくなる、手足の冷えなどがあります。

⑥α遮断薬

 血圧を上げる神経の働きを抑えて、血管を広げ、血圧を下げます。

副作用としては立ちくらみやめまいなどがあります。

これらの中から患者様の状態や他の持病などを考慮して薬を選びます。高血圧がひどくなければ1種類だけでコントロールできますが、1種類だけでは血圧のコントロールが不良であれば複数の種類の薬が必要になります。

 

本コラムは高血圧についてご理解を深めるのにお役立ちになったでしょうか。
姫路市で高血圧を指摘された方は書写西村内科にどうぞお気軽にご相談ください。
ネットでの診療予約も受け付けていますので、どうぞご活用ください。

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