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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)について

[2020.01.27]


目次

  1. 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とは?
  2. IPMNの症状
  3. IPMNの診断
  4. IPMNの種類
  5. 治療が望ましい所見
  6. IPMNの治療
  7. IPMNの経過観察

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とは?

膵管(膵臓の中にある膵液の流れる管)の中に、乳頭状(盛り上がるよう)に増殖する膵腫瘍で、どろどろとした粘液を産生することで膵臓の中にのう胞(水の袋)をつくる病気です。

がん化することもあるので注意が必要です。

 

IPMNの症状

無症状のことがほとんどです。まれに粘液が詰まって膵炎を起こして、腹痛を起こすことがあります。がん化して進行すれば腹痛や黄疸などをきたすことがあります。

 

IPMNの診断

たまたま施行した腹部超音波検査(エコー)やCT、MRIなどの検査で偶然発見される場合が多いです。発見されたのちに、CTやMRI、超音波検査内視鏡検査などで詳しく調べて、がん化するリスクが高い病変なのか、すでにがん化している部分があるのかを判断します。

がん化しているかどうかのさらに詳しい検査としては内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)や、膵液細胞診検査があります。

 

IPMNの種類

IPMNは3つのタイプに分けられます。膵臓の中には膵液が流れていく膵管という細い管があります。膵管の枝の部分に発生するタイプを分枝型IPMNと呼びます。一方、膵管の幹の部分(主膵管といいます)から発生するものを主膵管型IPMNと呼びます。分枝型と主膵管型が両方存在する混合型IPMNというものもあります。

治療が望ましい所見

①分枝型IPMN

下記の所見があれば手術が勧められます。
・黄疸の出現
・のう胞の中の結節が5mm以上
・主膵管が10mm以上に拡張

また、上記の所見がなくても下記の所見があれば注意が必要です。
・のう胞のサイズが3cm以上
・のう胞内に5mm未満の結節がある
・主膵管が5~9mmに拡張
・主膵管の一部が狭くなっており、それより奥の膵臓がやせている
・リンパ節がはれている
・CA19-9(膵臓がんなどの腫瘍マーカーです)が高い
・2年間で5mm以上大きくなっている

上記の所見があればより詳しい検査が必要です。膵液を採取して悪性細胞が見つかるかどうかの検査が望ましいです。

膵液を採取して、悪性細胞が見つかれば手術が勧められます。

②主膵管型IPMN

主膵管型IPMNは癌の危険性が高く(浸潤がん+高度異型:平均61.6%(36~100%)との報告があります)、分枝型IPMNよりもさらに注意が必要です。

下記の所見があれば手術が勧められます。
・主膵管が10mm以上に拡張

上記の所見がなくても下記の所見があれば注意が必要で、より詳しい検査が必要です。膵液を採取して悪性細胞が見つかるかどうかの検査が望ましいです。
膵液を採取して、悪性細胞が見つかれば手術が勧められます。
・主膵管の一部が狭くなっており、それより奥の膵臓がやせている
・リンパ節がはれている
・CA19-9(膵臓がんなどの腫瘍マーカーです)が高い
・2年間で5mm以上大きくなっている

また、主膵管内部に腫瘍状の結節(隆起性病変)が認められた場合には、がんの可能性がさらに高くなります。

③混合型IPMN

分枝型IPMNと主膵管型IPMNに準じます。

 

ただ、膵臓の手術は大きい手術であることが多く、特に膵臓の頭側に病変がある場合は膵頭十二指腸切除というかなり大きい手術になります。

そのため、それぞれの患者様の年齢や他に持っているご病気などの全身状態をふまえて治療をするかどうかを判断することになります。

 

IPMNの治療

IPMNの治療は外科手術による病変の切除です。病変の部位に応じて切除する範囲が変わります。

明らかに進行がんになってしまった場合の治療法は通常の膵がんと同じになり、手術や化学療法(抗がん剤による治療)、放射線療法を適宜組み合わせた治療を行います。

 

IPMNの経過観察

のう胞の大きさなどに応じて検査の間隔を決めます。

血液検査、腹部超音波検査(エコー)、CT、MRI、超音波内視鏡検査(胃カメラの先端から超音波が出る特殊なカメラを用いた検査です)などを組み合わせて検査を行います。

膵臓に病気があると言われると心配になられる方もいらっしゃるかと思いますが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)についてご理解いただくのに本コラムは参照になりましたでしょうか。
姫路市で膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断や治療方針についてご心配な方は書写西村内科にどうぞお気軽にご相談ください。

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