消化器内科
目次
次のような症状のある方は、当院にご相談ください。
✔ 胸やけがする
✔ 食欲不振
✔ 下痢や便秘を繰り返す
✔ 胃の痛み・もたれ
✔ 血便や真っ黒な便がでる
✔ 便が細い
✔ 急な体重減少
✔ 黄疸(目や皮膚が黄色くなる)
胃腸の病気
逆流性食道炎
原因
胃酸の逆流によって引き起こされる病気です。加齢や飲酒、喫煙、高たんぱく食、高脂肪食、コーヒー、緑茶、食べ過ぎやベルトなどによるお腹の締め付け、前かがみの体勢や肥満などが原因となります。
症状
症状としては胸やけや呑酸感(のどの辺りや口の中がすっぱい感じがすること)、のどの違和感、頻繁なげっぷ、よくせき込む、みぞおちの不快感や痛みなどがあります。
診断
診断は症状の問診と、内視鏡検査(胃カメラ)で行います。症状が乏しい時でも内視鏡で観察すると炎症を起こしている場合もあります。
逆流性食道炎のチェックシートを試してみましょう。
治療
治療の中心は胃酸の分泌を抑える薬の内服となります。逆流性食道炎は一度よくなっても再発しやすい病気で、内服を中止した半年後には90%近くの方で逆流性食道炎が再発したとの報告があります。逆流性食道炎の治療では、医師の指示にしたがってきちんと薬を飲み続け、炎症を完全に治して維持することが大切になります。
ヘリコバクター・ピロリ感染症
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)
ピロリ菌は胃に感染する細菌で、ピロリ菌に感染すると、急性胃炎を起こし、数週間で慢性胃炎になり、それが長期間持続すると萎縮性胃炎になります。
ピロリ菌感染があると胃・十二指腸潰瘍、胃癌などの発生率が高くなります。高度な萎縮性胃炎がある方はピロリ菌に感染したことがない方に比べて胃癌の発生リスクが148倍程度になるとの報告があります。ピロリ菌の治療を行うことで、胃癌の発生リスクを1/2~1/3程度に減らすことができるとの報告があります。
診断
ピロリ菌の検査は様々な方法がありますが、当院では血液検査(抗ピロリ抗体)および尿素呼気試験(薬を飲んで息を吐く検査です)を採用しています。血液検査では88~100%の確率で、尿素呼気試験では98~100%の確率でピロリ菌の有無が診断可能と言われています。
ピロリ菌の検査を行うにはまず、胃カメラで慢性胃炎(萎縮性胃炎)があることの確認が必要になります。胃カメラをせずに検査をすることはできますが、診察や検査および治療のすべてが自費診療になってしまいます。
治療
内服薬(抗生剤2種類と胃酸抑制剤1種類)を1週間飲むことで治療ができます。治療成功率は70~80%と言われており、1回目の治療が不成功であれば抗生剤の内容を変えて再度治療を行います。
最新の胃酸抑制剤(タケキャブ®)を用いることで、治療成功率が93%に上昇したとの報告があります。当院でもタケキャブ®を採用し、積極的にピロリ菌の治療を行っています。
まれに一回目の治療が不成功に終わる時がありますが、抗生剤の種類を変えて再治療を行うことで全体で99.9%の方で治療が成功するとの報告があります。
除菌治療後のフォローアップ
除菌に成功してもピロリ菌による萎縮性胃炎が完全になくなるわけではありません。萎縮性胃炎がある方は胃癌が発生するの危険性があるので、除菌後も内視鏡検査などで、定期的に検査を行うことが重要です。
院長コラムでもピロリ菌について記載していますのでよろしければ御覧下さい。
「院長コラム ピロリ菌について」
胃・十二指腸潰瘍
原因
ピロリ菌の感染や、痛み止め(NSAIDs:ロキソニン®やボルタレン®など)、抗血栓剤(アスピリンなど)などが主な原因となりますが、他にストレスや喫煙も胃潰瘍の原因となることがあります。また、潰瘍を作るタイプのがんがあるので注意が必要です。
症状
みぞおちの不快感や痛みといった症状が起こることが多いですが、痛みがない場合もあります。胃潰瘍から出血すると吐血や黒色便を認めたり、動悸やふらつきなどの貧血症状をきたすことがあります。
診断
内視鏡(胃カメラ)で実際に胃や十二指腸の観察を行うことで潰瘍の大きさや深さを調べることができます。また、内視鏡での観察や生検(組織の一部を取ってくる検査)によって潰瘍に似た癌などの病変かどうかを調べることことができます。
治療
現在はほとんどの場合はプロトンポンプ阻害薬などの内服治療によって治すことができます。ただ、痛み止め(NSAIDs)が原因の場合はなるべく中止や変更が望まれます。
また、内視鏡で潰瘍が治ったことと、がんを疑う病変がないかの確認をすることが重要になります。
ピロリ菌が原因の場合は潰瘍が治った後にピロリ菌の除菌を行います。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
機能性ディスペプシア(FD)
症状の原因となる明らかな異常がないのに、慢性的にみぞおちの痛み(心窩部痛)や胃もたれなどの症状をきたす病気です。健康診断を受けた人のうち11~17%、病院にかかった人のうち44~53%の方にFDが見つかったとの報告があります。
診断
機能性ディスペプシアに合致した症状があり、胃内視鏡(胃カメラ)で胃がんや胃潰瘍などの病変がないことを確認することで診断ができます。胃内視鏡(胃カメラ)に加えて、血液検査や腹部超音波検査(腹部エコー)、腹部CT検査などを行う場合もあります。
治療
- 生活習慣の改善
- 三食を規則的にとり、暴飲暴食や夜間の大食は避けましょう。また刺激物、高脂肪の食べものは控えましょう。
- 睡眠、休養を十分にとり、ストレスをためないことも重要です。
- 内服治療
過敏性腸症候群(IBS)
腸に明らかな異常が認められないのに、お腹の痛みや不快感を伴う便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く病気です。
確定診断には下記の過敏性腸症候群の診断基準(ローマⅢ基準)を満たすことと、大腸内視鏡検査で腸の炎症や腫瘍がないことの確認が必要です。
過敏性腸症候群の診断基準(ローマⅢ基準)
- 最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
- 下記の2項目以上の特徴を示す
- 排便によって症状がやわらぐ
- 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
- 症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
治療
- 生活習慣の改善
- 三食を規則的にとり、暴飲暴食や夜間の大食は避けましょう。また刺激物、高脂肪の食べもの、アルコールは控えましょう。
- 睡眠、休養を十分にとり、ストレスをためないことも重要です。
- 内服治療
食道や胃、大腸などのポリープやがん
食道や胃、大腸といった消化管にできるがんは早期に発見すれば内視鏡で切除でき、根治を得られる可能性が高くなります。早期がんの多くは無症状ですので、定期的ながん検診を受けることや、下記の内視鏡きっかけチェックシートで思い当たる症状がないかチェックしてみることが大事になります。
院長コラムで早期胃がんについて詳しく記載していますのでよろしければご覧ください。
こちらに色々な病気の内視鏡画像を載せていますのでご興味のある方はよろしければご覧ください。
胃内視鏡(胃カメラ)きっかけチェックシート
思い当たることはありませんか?
✔ ピロリ菌を調べたことがない
✔ ピロリ菌がいたことがある(除菌治療後検査をしていない)
✔ 飲酒や喫煙が多い(昔、多かった)
✔ お酒を飲むと顔が赤くなりやすい
✔ 胸痛や胸やけ、慢性的な咳がある
✔ のどや胸がつまった感じがする
✔ 腹部膨満感やみぞおちの不快感・痛みがある
✔ 便が黒っぽい
✔ 胃潰瘍、十二指腸潰瘍になったことがある
✔ 40才以上でまだ一度も胃カメラや胃透視(バリウム検査)を受けたことがない
✔ 短期間で体重が減少した
✔ 血縁関係の方に消化器がん(食道、胃、大腸など)の方がいる
1つでも当てはまる項目があれば胃内視鏡検査(胃カメラ)をお勧めします
胃がん検診による早期発見の大切さと、内視鏡検査の位置づけについて、アニメーションで解説しています。(動画提供:オリンパス「おなかの健康ドットコム」)
ご興味のある方はどうぞご覧ください。
~「胃がん検診を知ろう」(オリンパス「おなかの健康ドットコム」)~
大腸内視鏡(大腸カメラ)きっかけチェックシート
思い当たることはありませんか?
✔ 排便時に出血があった
✔ 便潜血検査が陽性であった
✔ 便秘や下痢に悩んでいる
✔ 便が細くなった
✔ お腹の張りや痛みがある
✔ 大腸ポリープを指摘された(治療した)ことがある
✔ 赤身のお肉をよく食べる
✔ 40才以上でまだ一度も大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けたことがない
✔ 短期間で体重が減少した
✔ 血縁関係の方に消化器がん(食道、胃、大腸など)の方がいる
1つでも当てはまる項目があれば大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をお勧めします
肝臓の病気
肝障害の3大原因は肝炎ウイルス(B型肝炎・C型肝炎)、飲酒、肥満(生活習慣)です。
慢性肝炎が続くといずれは肝硬変になり、肝臓がんや食道・胃静脈瘤、腹水貯留、肝性脳症(意識障害をきたす病気)などの危険性が高まります。
定期的な検査を行い、肝硬変になる前に病気の発見・治療を開始することが大切になります。
脂肪肝については院長コラムで詳しく記載していますので、どうぞご覧ください。
胆のうの病気
胆のうポリープ
胆のうの内側の壁にできるポリープです。コレステロールによるポリープがほとんどですが、まれにがんが混じっている場合があるので定期的な検査が重要です。半年から1年に1回程度、腹部超音波検査で経過観察を行います。
胆のう結石
コレステロールの取りすぎや細菌感染などによって胆のうの中に結石ができる病気です。多くは無症状ですが、胆のう内に詰まり、炎症を起こすとみぞおちから右上腹部の痛みや発熱をきたします。無症状であれば超音波検査や血液検査での経過観察でいいですが、症状があるようであれば胆のうをとる手術や内服薬による治療が望まれます。
膵臓の病気
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
膵臓に発生する、粘液を産生する袋状の腫瘍です。この腫瘍があると膵がんが発生する危険性が高くなるのと、この腫瘍自体ががん化する可能性があります。大きさや形などによって手術による治療が必要なのか、定期的な経過観察でいいのかを判断します。経過観察の方法には血液検査、腹部エコー、CT、MRI、超音波内視鏡といった検査があり、大きさや形などに応じて経過観察の方法・間隔が異なります。
院長コラムではもう少し詳しく記載していますでのよろしければご覧ください。
急性膵炎・慢性膵炎
急性膵炎はみぞおちから背中にかけて痛みをきたす病気で、飲酒が主な原因です。多くは入院による治療が必要です。
膵臓の炎症が慢性的に起こっていると慢性膵炎となり、最初はみぞおちから背中にかけて痛みをきたしますが、進行すれば糖尿病や下痢を起こすことがあります。慢性膵炎の方は膵がんの危険性が高いので、慎重な経過観察が必要です。