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高尿酸血症・痛風について

[2020.08.04]

目次

今回の院長コラムでは高尿酸血症・痛風について解説します。足の親指の付け根が腫れて、激痛があるという方は痛風発作かもしれません。風が吹いても痛いといういわれがあるぐらい痛い痛風発作ですが、痛風の原因となる高尿酸血症はそれ以外にも様々な合併症を起こします。

痛風発作を起こしたことがある方や検診で尿酸が高いと指摘された方、またそれ以外の方もどうぞご覧ください。

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは血液検査での「 尿酸値 > 7.0mg/dL 」の状態です。

高尿酸血症の状態が長く続くと、痛風を起こしたり、腎障害をきたしたりします。また、生活習慣病のお持ちの方が、高尿酸血症も合併していると、動脈硬化がより進行しやすくなり心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などを起こす危険性が高まります。

尿酸とは「プリン体」という物質が体内で分解されてできる老廃物です。プリン体は体や臓器を動かすためのエネルギー物質で、常に体内で作られています。また,私たちの細胞には遺伝情報を伝える働きをする核酸(DNAやRNA)という物質がありますが、核酸の構成成分もプリン体なので、古くなった細胞を分解する過程で核酸からプリン体が出てきます。また、プリン体は食品にも含まれており、食事をとることで体内に入ってきます。これらのプリン体は主に肝臓で分解されて尿酸となり、一時的に体内にため込まれた後で尿や便の中に排泄されます。できた尿酸が尿や便中の排泄されることで体内の尿酸の量は一定に保たれています。

体内で尿酸が作られすぎたり、不要な尿酸の排泄がうまくいかなくなったりすることで、血液中の尿酸の濃度が高くなり、高尿酸血症をきたします。

痛風とは

痛風は高尿酸血症による合併症の一つです。痛風発作とは、尿酸の結晶が関節に沈着することで起きる関節炎です。

高尿酸血症の状態が長く続くと、血液に溶け切らなかった尿酸が関節に沈着していきます。ストレスや激しい運動、尿酸値の急激な変動などのきっかけで、沈着していた尿酸の結晶の一部が関節の中ではがれ落ちると白血球がそれを排除しようとします。その結果関節の炎症をきたします。

痛風発作は突然起こり、激痛を伴う腫れや発赤をきたします。発作が起きてから24時間後が痛みのピークで3~7日程すれば痛みは引くことが多いです。

発作が起きる部位としては足の親指の付け根が一番多いです。他には足首、足の甲、肘、手首、肘にも起こります。

発作が落ち着いたとしても、高尿酸血症の治療を行わないと発作を繰り返すおそれがあります。

高尿酸血症による合併症

高尿酸血症の合併症としては痛風が一番有名ですが、他にも下記のような合併症をきたします。

  • 腎障害(痛風腎):尿酸の結晶が腎臓に沈着すると腎臓の機能が低下します。腎障害が進むと、腎不全となり、透析が必要になることもあります
  • 痛風結節:尿酸の結晶が皮膚の下の組織に沈着するとこぶができます。肘や手の甲、耳たぶなどにできることが多いです。
  • 尿路結石:尿が酸性になって、尿中の尿酸が溶けにくくなり、結石ができることがあります。

また、生活習慣病のお持ちの方が、高尿酸血症も合併していると、動脈硬化がより進行しやすくなり心筋梗塞や脳卒中などを起こす危険性が高まります。

高尿酸血症の治療

生活習慣の改善
①摂取カロリーの抑制および肥満の改善

1日に摂取する適正カロリーの目安は

標準体重 × 25~30 kcal

と言われています。

標準体重は身長(m)×身長(m)×22です。
身長が170cmの方では1.7×1.7x22=63.58 kgが標準体重となります。
その場合1日の適正カロリーの目安は1590~1900 kcalとなります。

食事を抜いていると体内脂肪の分解が起こり、尿酸の排泄がとどこおることで尿酸値上昇を招くの注意が必要です。過激なダイエットはせず、1カ月に0.5kgほどのゆっくりとしたペースの減量を目指しましょう。

BMI (Body Mass Index)25以上が肥満とされていますので、BMI 25未満が目標になります。
*BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です
 身長が170cmの方の場合、BMI 25となる体重は25×1.7×1.7=72.25 kgとなります。

また、プリン体のとりすぎには注意が必要です。
1日に摂取するプリン体の量は400mg以下を目標としましょう。

ショ糖や果糖は体内で尿酸を作り出すので、これらを含む清涼飲料水・果物・アイスも食べ過ぎに注意しましょう。

★プリン体が極めて多い食品
鶏レバー、マイワシの干物、イサキの白子、あんこうの肝の酒蒸し、カツオブシ、ニボシ、干し椎茸

★プリン体が多い食品
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジの干物、サンマの干物

②アルコール摂取量を減らす

ビールにプリン体が多いのはよく知られていますが、ビールに限らずアルコールは尿酸値を上げる原因となります。

尿酸値を上げないための1日の飲酒量の目安は下記のようになります。

  • ビール 500mL
  • 日本酒 180mL
  • ワイン 180mL
  • 焼酎 25度 90mL
  • ウイスキーまたはブランデー 40度 60mL

また、週に2日以上の禁酒日も設けるようにしましょう。

③十分に水分をとる

尿酸は主に尿から排泄されるため、尿の量が増えれば、尿酸を体外へ出しやすくなります。1日2L以上を目標に積極的に水分を摂取しましょう。

ただし、心不全や腎不全で水分摂制限の指示を受けている場合は、水分制限の指示を優先するようにしてください。

④適度な有酸素運動

ウォーキングやジョギング、水泳のような有酸素運動を継続して行いましょう。

激しい運動はエネルギーを使用する際の老廃物である尿酸値が上がる原因になるので注意が必要です。

⑤上手なストレスの発散

ストレスは尿酸値を上げると言われています。飲酒や過食ではない、自分にあった体に優しいストレス発散法を見つけましょう。

薬物療法

下記のような方では高尿酸血症の薬物療法が勧められています。

  • 痛風発作を起こしたことがある、または痛風結節がある方
  • 尿酸値が9.0mg/dL以上の方
  • 尿酸値が8.0mg/dL以上で下記の合併症がある方
     腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、糖尿病、メタボリックシンドロームなど

尿酸値を下げる薬には下記の2つのタイプがあります。

  • 尿酸生成抑制薬:尿酸が体の中で作られるのを抑える薬
  • 尿酸排泄促進薬:尿酸を体の外へ出しやすくする薬

血液中の尿酸の濃度が急激に下がると、痛風発作が起きてしまうことがあります。尿酸値を下げる薬を使用する場合は発作を防ぐために、ゆっくりと尿酸値を減らしていきます。

尿酸値の目標値は6.0mg/dL以下です。一度6.0mg/dL以下になればいいのではなく、6.0mg/dL以下を維持することが大事になるので、定期的な検査と治療の継続が重要です。

痛風の治療

痛風発作が起こった際には関節の炎症を抑える薬を投与します。

治療の基本は非ステロイド性抗炎症薬になります。これを発作の間だけ内服します。

非ステロイド性抗炎症薬だけでは効果がない場合にはステロイドという炎症を抑える薬を使用することがあります。ただ、ステロイドまで使用しなければいけないケースはかなり少ないです。

発作が起きた際には患部(痛む所)を心臓よりも高くして冷やすことも有用です。

また、痛風発作が起きる前兆(関節の違和感やむずむずする感じなど)がある時に痛風発作予防薬を飲むことで発作を予防したり、発作の程度を軽くすることができます。

尿酸値が変動すると痛風発作が起きやすくなるので、尿酸値を下げる薬は発作が落ち着いてから飲みはじめます。

元々尿酸値を下げる薬を内服している方で、発作が起きた場合にはそのまま薬を継続するようにしてください。

 

本コラムは高尿酸血症・痛風についてご理解を深めるのにお役立ちになったでしょうか。

姫路市で痛風でお困りの方、尿酸が高いと指摘された方は書写西村内科にどうぞお気軽にご相談ください。

ネットでの診療予約も受け付けていますので、どうぞご活用ください。

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