骨粗しょう症について
目次
- 骨粗しょう症とは
- 骨粗しょう症の原因
- 骨粗しょう症の症状
- 骨粗しょう症の検査
- 骨粗しょう症の診断
- 骨粗しょう症の治療:薬物治療
- 骨粗しょう症の治療:食事療法
- 骨粗しょう症の治療:運動療法
- 骨粗しょう症による骨折の予防
骨粗しょう症とは
骨密度が低下して、骨折をしやすくなる骨の病気のことです。骨粗しょう症によって骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、すべってしりもちをついてなどのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。
がんや脳卒中、心筋梗塞のように直接的に生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、介護が必要になったり、寝たきりになってしまう人も少なくありません。最近では、脊椎圧迫骨折はただ単に背骨が曲がるだけでなく、死亡の危険性を高めることが明らかになっています。
骨粗しょう症は骨折をきたさない限り自覚症状がないことが多く、定期的に骨密度検査を受けるなど、日ごろから細やかなチェックが重要になります。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因としては加齢や栄養不足、運動不足や喫煙、過度の飲酒などがあります。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。そのため、閉経後に女性ホルモンの分泌が低下しますと、急激に骨密度が減って、同年代の男性に比べて早く骨密度が低くなってしまいます。骨粗しょう症の患者さんの80%以上が女性といわれています。
また、薬や病気などが原因になって起こる骨粗しょう症もあります。
骨粗しょう症の原因となる可能性のある薬
- ステロイドの長期投与
- 抗痙攣薬
- ワルファリン
- SSRI(うつ病や不安障害の治療薬)など
骨粗しょう症の原因となりやすい病気
- 関節リウマチ
- 副甲状腺機能亢進症
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 動脈硬化
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
骨粗しょう症の症状
骨粗しょう症の症状としては
- 身長が低くなった
- 背中や腰が曲がってきた
- 背中や腰に痛みを感じる
といったものがあります。上記のような症状がある方は骨密度の測定がお勧めされます。
骨粗しょう症の検査
①骨密度検査
骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表します。
骨密度の測定方法には超音波法、DXA法、MD法の3つがあります。当院では放射線への被ばくがない、超音波法の装置を採用しています。
当院の骨密度測定装置
骨密度検査は、骨の健康を知る上で重要な手がかりです。 特に女性は症状が無くても、40歳以上になったら定期的な骨密度の測定がお勧めされます。
②レントゲン検査
背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮って、骨折や変形の有無などを確認することができます。
骨粗しょう症の診断
骨粗しょう症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。骨折は本人が自覚していないうちに起きているものもあり、診断のためには骨密度検査に加えてレントゲン検査もお勧めされます。
診断基準
①脆弱骨折がある場合
- 背骨(椎体)、または脚の付け根(大腿骨近位部)の骨折
- その他の脆弱骨折があり、骨密度やYAMの80%未満
②脆弱骨折がない場合
- 骨密度がYAMの70%以下、または-2.5SD(標準偏差)以下
*脆弱骨折:転倒や、転倒以下のわずかな外力で起こった非外傷性の骨折
*YAM:若年成人平均値(腰椎:20∼44歳、大腿骨近位部:20∼29歳)
骨粗しょう症の治療:薬物治療
骨粗しょう症の治療の中心は薬物治療になります。ただ、薬物治療と並行して食事療法や運動療法も行い、骨の強度を高めていくことが重要です。
骨粗しょう症の薬は大きく3つに分類されます。
①骨が壊れるのを防ぐ(骨吸収を抑制する)薬
女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスフォスフォネート製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬(ラロキシフェン、バゼドキシフェン)、カルシトニン製剤、デノスマブ
②骨を作る(骨形成を促進する)薬
活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
③その他
カルシウム製剤
約半数の方が1年で処方どおりに服薬しなくなってしまい、 5年後には約半数の方が服薬をやめてしまうと言われています。
薬物治療によって一時的に骨密度が改善しても、薬をやめるとまた骨密度が低下することが多く、骨粗しょう症による骨折を防止するためには治療を継続することが重要です。
骨粗しょう症の治療:食事療法
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂りましょう。 カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸でカルシウムを吸収しやすくなります。
また、高齢になるとタンパク質の摂取量は不足する傾向がありますが、タンパク質の摂取量が少ないと骨密度の低下を助長しますので、意識して摂取しましょう。
栄養やカロリーのバランスがよい食事を規則的に摂るのが、食事療法の基本になります。
◎カルシウムが多い食品
牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、緑黄色野菜、大豆・大豆製品など
※骨粗しょう症や骨折予防のためのカルシウムの摂取推奨量は、1日700~800㎎です。
◎ビタミンDが多い食品
サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイなどの魚類、シイタケ、シメジなどのキノコ類、卵など
◎ビタミンKが多い食品
納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど
◎タンパク質が多い食品
肉、魚、卵、豆類、穀類など
骨粗しょう症の治療:運動療法
骨は、負荷がかかるほど骨を作る細胞が活発になり、強くなる性質があります。 散歩を日課にしたり、階段の上り下りを取り入れるなど、日常生活の中で運動量を増やしましょう。
骨折予防に有効な運動は、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切です。
また、運動をすることによって筋力の増強やバランス感覚の向上につながり、転倒による骨折を減らすことにもつながります。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でも作られます。夏の直射日光を長時間浴びることは、皮膚が赤くなったり熱中症のおそれがあったりしますが、適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。
冬であれば30分~1時間程度散歩に出かけたり、夏であれば暑さを避けて木陰で30分程度過ごす程度で十分ですので、適度な日光浴を心がけましょう。
骨粗しょう症による骨折の予防
骨折を防ぐためには、骨を強くすることも大切ですが、転ばないようにする努力も必要になります。
転ばないようするために、以下のことに気を付けましょう。
- カーペットの段差など、室内の段差を無くす
- 滑りやすい床や履物に気を付ける
- スリッパのような脱げやすい履物は避ける
- 足元を明るくする
- 足元にあるコード、小物等を片付ける
- 動きやすい服装にする
皆さんがお元気に、楽しんで生活をできるようお手伝いできればと思います。姫路市で骨粗しょう症の検査・治療を希望をご希望される方は当院にお気軽にご相談ください。