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検診・健康診断の異常について ~消化器疾患篇~

[2020.09.30]

目次

検診や健康診断で異常を指摘されたことはおありでしょうか?
症状がないため、ついつい放置してしまっていませんか?
今回の院長コラムでは検診・健康診断でよくある消化器系の異常について解説します。
ただ、あくまで目安ですので、必ず医療機関を受診してご相談なさってください。

便潜血陽性

便潜血検査が陽性となる原因

便潜血検査はその名の通り、便の中に血液が混じっていないかの検査です。大腸に異常があるかどうかを調べるのが主な目的となります。

便潜血検査が陽性となる原因としては小腸・大腸からの出血をきたす病変が挙げられ、多岐にわたります。頻度的には小腸に病変があるのはかなり少ないので、今回は大腸の病変を挙げさせていただきます。

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 憩室出血
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 感染性腸炎
  • 虚血性腸炎
  • 痔核

他にも色々な病気が考えられますが、頻度的には上記のものが多いと思われます。

便潜血検査が陽性になったら

便潜血検査が陽性になったら大腸カメラを受けましょう。「便潜血検査で2回中1回しか陽性にならなかったから・・・」、「痔があるので、そこからの出血と思うから・・・」と、放置のままになっている方がいらっしゃいますが、病気が隠れている場合、病状が進行してしまうおそれがあります。

便潜血陽性の際に一番心配しなければならないのが、大腸がんになります。もし大腸がんがあって放置していた場合、根治の手術ができていたのに手術ができない程に進行してしまうことや、内視鏡(大腸カメラ)での切除ができる早期がんだったのに、大腸を切る手術が必要な進行がんになってしまうことがあります。

数年前から時々血便があったが、痔と思って放置されていて、受診された時にはかなり進んだ進行がんになっていたという患者様を私自身、数人経験しています。

便潜血検査が陽性で大腸カメラをしても必ず異常が見つかるわけではないですが、異常がないかの精査を行うことは非常に重要です。

便潜血検査の大腸がんに対する検査能力

便潜血2日法の感度・特異度は大腸がんとadvanced neoplasia(10mm以上の腺腫、絨毛成分を25%以上含む腺腫、high grade dysplasia)では下記のような報告があります。

  • 大腸がん:感度 53~100%、特異度 87~95%
  • advanced neoplasia:感度 29.2%、特異度 85.8%

 *日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン 2020より

ここで、感度・特異度について簡単にご説明しておきます。

  • 感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率

つまり、病気がある場合に検査が陽性になる確率になり、感度が高い方が病気を発見しやすくなります。Aという病気に感度が高い検査であれば、その検査が陰性になればAという病気がある可能性は低くなります。

  • 特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率

Aという病気に対する特異度が高い検査では、その検査が陽性になればAという病気であるという可能性が高くなります。

報告によってばらつきがありますが、大腸がんに関してでも感度は53~100%であり、便潜血検査が陰性であっても大腸がんがないとは言い切れません。
便潜血検査で1回陽性、1回陰性であっても大腸がんなどの病変が隠れている可能性はあります。
便潜血検査と併用して、定期的な大腸カメラでの検査が重要になります。

大腸カメラってどんな検査?

肛門から大腸カメラを挿入し、大腸内を観察する検査になります。小さいポリープであれば、その場でポリープを切除することが可能性です。

私が検査をする場合はカメラが大腸の一番奥まで到達するのが3~6分程度のことが多く、そこから6~8分程度かけてカメラを引き抜きながら観察するので、検査時間としては9~14分程度になります。ポリープを切除する場合は数にもよりますが10~20分程度余分に時間がかかります。

大腸カメラを挿入するのが非常に難しい方の場合は、奥まで到達するのに10~20分程度かかる場合があります。また、大腸カメラを行う医師の技術によってもかかる時間はかなり異なります。

大腸カメラの詳細に関しては下記の当院ホームページおよび院長コラムをご覧ください。

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胃透視検査(胃バリウム検査)の異常

胃透視検査で指摘される主な異常

胃透視検査で指摘される主な病変としては下記のものが挙げられます。

  • 胃ポリープ(隆起性病変)
  • 慢性胃炎
  • 胃潰瘍
  • 胃潰瘍瘢痕
  • 胃がん
  • 胃粘膜下腫瘍

胃透視検査は検査を行う医師や技師の力量、検査画像を読影する医師の読影力によって、病変の検出率などに差が出ます。近年胃がん検診で胃透視検査だけでなく、胃カメラ(胃内視鏡検査)を選択できる市町村も増えてきています。ピロリ菌に感染したことがあり、胃がんの危険性が高い方、飲酒・喫煙をされている食道がんのリスクが高い方などは定期的な胃カメラでの検査がお勧めされます。

胃透視検査で異常を指摘されたら

胃透視検査で異常を指摘されたら、胃カメラを受けましょう。胃透視検査だけでは診断を付けられない病変も多く、胃カメラをして経過観察でいいのか、治療が必要な病変なのか判断することが必要です。

胃透視検査の異常で考えられる病気

各々の胃透視検査異常について、考えられる病変について解説します。ただ、これはあくまで目安ですので、胃透視検査で異常を指摘された方は必ず医療機関を受診して、精査を受けてください。

①胃ポリープ(隆起性病変)

胃のポリープで多いのは胃底腺ポリープという良性のポリープになります。特にピロリ菌に感染していない比較的若い方で、多発する数mm大程度のポリープを指摘された場合、胃底腺ポリープのことが多いです。胃底腺ポリープはがん化する可能性は低く、基本的に切除は不要で、経過観察のみで大丈夫です。

次に多いのは過形成性ポリープになります。これはピロリ菌に感染している(感染していた)方にできることが多いです。ピロリ菌の除菌を行うと、小さくなったり、消失したりすることがあるので、ピロリ菌の感染の有無を調べて、感染があれば除菌を行います。大きいものではがん化する可能性があり、大きいものやがん化が疑われるものは胃カメラを用いて切除します。また、出血しやすいポリープなので、貧血の原因になる場合も胃カメラを用いて切除します。

ポリープというのは隆起している病変全てを指すので、ポリープと言われても胃がんである場合もあります。胃がんの場合には確定診断をつけるために、生検(病変の一部をつまみとること)を行い、病理組織検査に出します。また、胃カメラ・CTなどの検査で病期(病期の進み具合)を判断し、治療方針を決定します。

②慢性胃炎

ピロリ菌に感染すると、急性胃炎を起こし、数週間で慢性胃炎になり、それが長期間持続すると萎縮性胃炎になります。ピロリ菌感染があると胃・十二指腸潰瘍、胃がんといった病気の発生率が高くなります。他には胃過形成性ポリープ、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などもピロリ菌と関連があると言われています。

慢性胃炎を指摘された場合、胃カメラで胃がんなどの病気がないかを調べること、またピロリ菌の感染があるかどうかを調べることがお勧めされます。

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③胃潰瘍

胃潰瘍を指摘されれば、早急に医療機関を受診して、胃カメラで胃潰瘍の状態を確認しましょう。胃潰瘍が悪化すれば出血をきたしたり、穿孔(穴があくこと)するおそれがあるので、早急な治療が必要です。今はよほどひどいものでなければ胃酸の分泌を抑制する内服薬で潰瘍を治すことができます。

また、胃がんが一見胃潰瘍に見える場合もあり、胃がんが隠れていないかを胃カメラで詳細に見ること、胃潰瘍が治った後に胃カメラを再度行って、胃がんを疑う所見がないかを確認することも重要です。

④胃潰瘍瘢痕

胃潰瘍瘢痕とは胃潰瘍が治ったあとのことで、胃の壁のひきつれや胃の変形が見られます。

元々指摘されている胃潰瘍瘢痕であればあまり心配はいらないですが、初めて指摘された場合は必ず胃カメラを受けて、胃がんが隠れていないかチェックしましょう。

また、ピロリ菌が胃潰瘍の原因となっていた可能性があるので、胃潰瘍の再発を予防するために、ピロリ菌の感染の有無を調べて、もしピロリ菌がいるようであれば除菌をしましょう。

⑤胃がん

確定診断をつけるために、胃カメラを行って生検(病変の一部をつまみとること)を行い、病理組織検査に出します。また、胃カメラ・CTなどの検査で病期(病期の進み具合)を判断し、治療方針を決定します。

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⑥胃粘膜下腫瘍

胃粘膜下腫瘍とは胃の壁の中にできる腫瘍です。代表的なものとしてはショーケンこと萩原健一さんの命を奪ったGIST(消化管間質腫瘍)があります。まずは胃カメラで本当に粘膜下腫瘍なのかどうかを診断します。小さいものであれば胃カメラで大きさや形などの変化がないかを定期的に検査をするだけでいいですし、大きいものや悪性を疑う所見があればCTや超音波内視鏡検査などで精査を行います。

肝機能異常

肝機能異常の原因となる病気

慢性の肝障害であれば下記の病気が頻度の多いものになります。

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • アルコール性肝障害
  • 非アルコール性脂肪肝炎

他にも

  • 薬剤性肝障害
  • 自己免疫性肝炎
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 原発性硬化性胆管炎
  • Wilson病
  • ヘモクロマトーシス
  • 甲状腺機能異常

などが慢性肝障害の原因として挙げられます。

肝機能異常の検査

肝機能異常の精査のための検査としてははまずは血液検査と腹部超音波検査が挙げられます。その上で、必要に応じてCT、MRI、肝生検(肝臓を針で刺して、一部の組織を取ってきて病理学検査に提出する検査)などの検査を必要に応じて行います。

血液検査といっても、肝機能異常の原因となりうる病気を全て網羅する検査を行うことは難しいです。問診や診察、肝機能障害の程度などから必要な項目を選択して、血液検査を行います。

脂肪肝

脂肪肝とは

中性脂肪が肝臓に蓄積する病気です。過剰なアルコール摂取や肥満、生活習慣病などが原因で、肝臓に余分な脂肪が蓄えられた状態です。アルコールが原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」、それ以外の脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝」と呼びます。脂肪の割合が肝細胞全体の30%を占める場合に、脂肪肝と診断されます。

日本での脂肪肝の頻度は増えており、検診を受けた方の20~30%に脂肪肝が認められたという報告があります。

脂肪肝の原因

脂肪肝の原因としては過剰なアルコール摂取や肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病があります。また、最近では膵頭十二指腸切除術という手術の後の消化吸収障害やホルモン異常に伴う代謝機能障害、睡眠時無呼吸症候群なども脂肪肝の原因として注目されています。

脂肪肝の検査・診断

血液検査で肝機能を調べるほか、飲酒の有無の確認、超音波検査やCT検査などの画像検査により、肝臓の大きさや脂肪のつき具合を見て診断します。

脂肪肝の治療

アルコールが原因の場合は禁酒(もしくは飲酒量の減量)が一番の治療になります。生活習慣病などが原因の場合は生活習慣の改善や減量が基本的な治療になります。残念ながら現在のところ、脂肪肝について強力にお勧めできるお薬はないのが現状です。

生活習慣の改善としては下記のことを心がけましょう。

  • バランスのよい食事:脂肪分の多い食事や糖質の摂りすぎに注意しましょう。また、全体のカロリーが多い場合はカロリー制限も重要です。
  • 定期的な適度な運動:有酸素運動(ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった、ある程度の時間をかけながら少量から中程度の負荷をかけて行う運動)が勧められています。

脂肪肝は症状が現れにくく、放置すると肝炎や肝硬変、肝がんへと進行するおそれがあるため、定期的に検査を受けることが重要です。

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